1ヵ月前
1年ぶりに会う
上司に会いたくなくて
マロは出勤日を交代してもらい仕事を休んだ
大幅リバウンドした体型を見られたくなかったからだ
その時は今からダイエットをして
1ヵ月後には
少し痩せているつもりだった
もし再び会う機会がやってきたとしても
少しは痩せた体型になっているはずだった
しかし
そんな目論見は外れ
先月と今月の体重はほぼ一緒のまま
また
あの上司がやってくると言う
どうすれば会わずにすむのだろうか?
必死に考えた
今回は仕事を休めなかった
それでも
会わずに済む方法をひたすら考えた
いろんな案を練ったけれど
どうしても…
どうやっても…
避けることができない…
朝から鏡の前でどの姿勢が1番細く見えるか
入念に確認する
できるだけお腹をへこます
絶対に椅子には座らない
姿勢を低くしゃがまない
以前
顔だけは太っていないと言われたことから
顔は出しても体は隠せ作戦!!
イーゼルや物陰や机を駆使して
できるだけ全身を見せないようにする
極端に太い洋ナシ体型の下半身は隠し続ける
横向きの姿勢は
どう転んでも太い
上司の前では絶対に横を向かない
顔に肉がついていないと言われたとは言え
インフルエンザになった時
5kg体重が減り
そのリバウンドの際
5kg分が
すべて顔に出たのではないかと思うほど
その時を境に
顔は丸まってしまったため
現在は下を向くと
二重あごになる
常に斜め上を見て
絶対に下を向かない事を徹底しよう!
ドキドキ
ドキドキ
憂鬱だなぁ…
ドキドキ
ドキドキ
逃げ出したいなぁ…
「おはようございます」
そう言って現れた上司
マロは
遠近法で少しでも細く見せようと
その人から距離をとった
部屋の端と端
上司が前に出れば
後ろに下がり
上司が左に行けば
右に行く
受け取る資料は
机越しで
下半身を隠す
すべて真正面から受け答えできるように
ゴールキーパーのようなディフェンスで
その人に向かって常に真正面を向き続けた
その成果もあってか
上司は体型のことを
気にしているそぶりはない
業務的なやり取りがトントンと進み
しばらくして
上司に
「マロさん、ちょっとちょっと」と手招きで呼ばれた
ヤバイ!
小走りに駆け寄る両手には
今から”貼るよ”と言わんばかりに
A1サイズの大きなポスターを広げて持ち(笑)
ほぼ全身をポスターで隠したまま近づいた
上司「○×の書類はどうなっている?」
マロ「ファイリングしてあります」
そう言ってマロは無意識に
ポスターを置き
反射的に椅子に座り指定されたファイルを
机の下の引き出しから取り出し…. た。
アッ!
上司の俊速なギロリ視線!
表情がこわばる両名
わずか3秒にも満たない短い時間
上司はマロを食い入るように見ていた
…のを見逃さなかった
アチャーщ(゚ロ゚щ)
手遅れだ…
しばらく
視線を合わせないまま会話が続いた
ああ…
遂にバレてしまった
ああ
ああ…
なにせ2年前63kgだった人が
2年後に123kgになっている
もう複雑な感情がいろいろ積み重なって
言い訳も説明も出てこない
次にお会いする時は
もう少し痩せていたいと思うのでした
ハィ…キッツイナ…
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